あたしは無意識に、持っていた傘を落としてしまった。 その音に気づいた、ぼやけた翔が、ぼやけた雫さんを離して振り返った。 あたしの顔は、雨なのか涙なのかわからないくらい濡れていた。 あたしは傘を落としたまま、お屋敷とは逆方向に向かって走った。 もう、お屋敷にはいたくない。 あたしは一心不乱に、ぼやけた視界で家に走った。 後ろから、水を跳ねる足音が聞こえる。 ー…翔だ。 いや………っ、追いかけてこないで!! 雫さんのところにいてよ!!!