今日もあたしは重い気分のまま、翔の部屋の扉を叩いた。
「…失礼します」
「どうぞ」
今日も、決まってクッキーだ。
前はロールケーキとかカップケーキとか、心のどこかで翔を喜ばせたくて色々なお菓子を作ってたけど、それをしちゃまだ想ってるみたいで……
あたしは机に向かう翔には目も向けず、お皿を置くとすぐに部屋を出ようとした。
「…おい、まひる……」
「…っ」
久しぶりに名前を呼ばれたから、あたしはびくっとしてしまった。
翔が近づく気配がする。
あたしは体を強張らせた。
翔の手があたしの肩に触れそうになった時、あたしはその手を振り払った。



