私は14の時には容姿も体も完成していた。


こんな家庭にいるからか、中身も大人びていた。


「あら、帰ってきたの。」


何度も聞いた。何度も何度も言われる言葉。


もう慣れたけど。


「加代子、俺ウィスキーが飲みてぇな」


「えぇ、今買ってくるわ。」


逃げなきゃ…


母親を家から出すのがこいつの合図みたいなもんだ。


私は早足で部屋に行って鍵をしめた。


トン、トン、トン、トン、トン


一定の速度で階段を上がる音だけが聞こえる。


トントン


「開けろよ」


ガチャガチャガチャ


「毎回無駄なことするよなぁ。」


カチャ


やだ…やだ…やだやだやだやだ!


来ないで…来ないで…