歩夢さんと愛都さんは兄弟のように仲が良かったのを覚えてる。


歩夢さんと愛都さんは孤児で同じ施設で育ったらしい。


人を愛することも、人に愛されることも知らずに生きてきた2人はお互いがお互いに依存してた。


わざと敵対する珀螺と空魁に別々に入って、見事に総長に上り詰めて2人の代で珀螺と空魁は同盟を組んだ。


そのすぐくらいに隼人さん率いる黒蝶に2チームまとめて傘下に入ったらしい。


その頃俺は中1で、まだ黒蝶には入っていなかった。


その一年後に黒蝶にハルが出入りするようになった。


隼人さんの“女”として。


誰にも分け隔てなく接するハル。
無邪気に笑いかけるハル。
中2のわりに大人びた容姿と性格のハル。
優しさで溢れたような、まだ純粋だったハル。


あの頃のハルに惚れてる人はかなりいたと思う。


それでも、ハルは隼人さんの、“総長”の女だってみんな理解してたから、想いを告げる人も、手をだす人もいなかった。


そこのソファーで寝てるうちの幹部君もその中の1人。


そして、歩夢さんも。