だからって、一人でイラついて美咲に当たって。俺は何やってんだよ? 美咲を困らせる事なんかしたくねえのに……。マジ最低な奴だよ、俺。

 とにかく美咲に謝ろう。こういう事は直接会って謝りてえから、明日だな。

 決心したのは良いけど、美咲が彼氏とデートしてるシーンが頭に浮かんできて、またどうしようもない虚無感に襲われる。

 本当に今、彼氏と居んのか? そいつは美咲の事、大切にしてくれる奴なのか?

 ほんの数分前までは傍に居たのに、もう……。

 美咲の顔が見たい。

 声が聞きたい。

 たまらなく愛おしい。

……ん? いやいや、違うだろ。そうじゃなくて。

 ああ、もう。何をうだうだ考えてんだよ。俺らしくもねえ。とにかく今は変に考え込まないようにしよう。よし、とりあえず夜メシの材料でも買ってくか。

 俺は吸いかけの煙草の火を揉み消して腰を上げた。

 スーパーに向かう道中も美咲の事が頭から離れない。無性に気になって仕方ない。

 更に、彼氏と居んなら俺が心配する必要なんかないはずなのに、時間が経てば経つほど正体不明の胸騒ぎがし始めた。

 何なんだよ、一体。

 まさか、本当に何かのトラブルに巻き込まれてんじゃねえよな?