宝物〜絆〜

 ムキになると余計からかわれるから、ここは敢えてボケ返す。

「居るじゃん、ここに。絶世の美女が一人。むしろ、か弱い乙女が一人ってのも不安なんだけど。男の人ばっかで恐いなあ」

 言った瞬間、全員が動きを止めて静まり返った。いや、反応しすぎじゃね?

「ええ。なんだかうちの美咲ちゃんが暴走っつーか迷走してるみたいですみません。皆様、色々と突っ込みたい事があると思いますので、何か言いたい事がある人は、そっちの端から順にコメントをどうぞ」

 鏡司はわざとらしい口調で一番離れた場所に居る五人組にマイクを向けるような仕草をする。

 それを受けて、皆が口々に「乙女って誰の事ッスか?」やら「ウケ狙い?」やら「美咲さんがか弱いなら、俺らは何?」やら、言いたい放題言い出した。

 つか、突っ込まれるとは思ってたけど、これはさすがに突っ込みすぎじゃねえか? ここまで突っ込まれるような事なのか?

「確かに綺麗なのは認めるけど、か弱くねえし、可愛い子ぶっても無駄」

 疾風が苦笑しながら私を見ている。

「美咲、これで分かったか? お前の事を女として見てる奴は居ねえって事が。だから安心しろ」

 鏡司は悪戯に笑いながら聞いてきた。

 つか、そこまできっぱり言わなくても良いのに。結局、突っ込もうが言い返そうがボケようが、結果は一緒だったって事だな。まあボケた内容も悪かったんだろうけど。

「はいはい。もう何とでも言って下さいな」

 結局、流すのが一番だと判断して、今さらながら流しておいた。