宝物〜絆〜

「要するに今ここで和解するか、とことんまでやるかどっちかって事だよ。やんならやるで良いけどよ。美咲の言う通り、大樹はあんな言い方してても本当はおめえの事、心配してんだぞ。それくらい分かるよな?」

 秀人はさっきまでとは一変した穏やかな表情でバカ西を見ている。

 ずっと俯いていたバカ西が、その言葉を受けて顔を上げた。

「大樹……」

 バカ西は蚊の鳴くような声で呟く。

 その反応を見た秀人は、更に言葉を付け加えた。

「あんさ。先週も聞いた気がするけど、何で大樹にまで手え出そうとすんだよ? 俺や美咲にやんのは分かるけどさ、大樹にやんのは、どうしても理解出来ねえんだよな。お前にとって大樹って何? こんだけお前の事、心配してくれてんのに、何でこうなる訳?」

 秀人は物越し穏やかにバカ西の顔を覗き込む。

「何でって……」

 一瞬、何か言いかけたバカ西だが、数秒の沈黙の後、再び口を閉ざして俯いてしまった。

 なんか、言いづらいけど聞いてほしいみてえな、そんな感じの反応に見えるな。

 何を言いかけたのか分かんねえけど、こいつにとっても大樹は特別な存在って事だよな。

 要するにこいつの心を開く鍵は大樹が握ってるって事だ。