宝物〜絆〜

 一瞬の沈黙が流れ、不意に鏡司が口を開いた。

「なあ、ただぶっ飛ばすだけってのも面白くねえからさ。一番時間かかった奴が今日の酒代奢るって事にしね?」

 鏡司は子供のように無邪気に微笑んでいる。

 つか、いつの間に今日飲むって決定したんだよ? と、心の中で突っ込んでいる間に大樹が口を開く。

「お前、いつ飲むって決まったんだよ? まっ、そういう条件あった方が燃えるから良いや。秀人も良いだろ?」

 突っ込みつつも、すぐにOKするところが大樹らしい。

「良いよ。まっ、俺が初めに抜けるけど」

 秀人もあっさりOKした。

 相手の実力的には大樹たちが相手する奴らの方が強えけど、秀人は一人で五人相手しなきゃなんねえのに、たいした自信だな。

 ともあれ、こうして酒代を賭けたバトルが始まる事になった。

 って、あれ? そういや私は? 私の立っている位置や相手のメンツからして、私が見学するって気付いてんよな。だから私に振ってこなかったんだろうし。

「つか私はやんねえけど、金どうすりゃ良いんだよ?」

 自分だけ何もしないで奢ってもらうのは嫌だから、慌てて確認する。

「美咲は出さなくて良いよ」

 鏡司が私の方を向いて答えた。