宝物〜絆〜

 私は無駄な抵抗を続けながら、大樹に視線を移した。

 すると、ちょうどこっちを向いた大樹とバッチリ目が合う。

「美咲ッ!」

 驚いて目を丸くした大樹が、行く手を阻まれながらもそれを蹴散らして駆け寄ってきた。

 この時、私の服はまだ脱がされていなくて、腹の辺りまで捲り上げられている状態だった。

「お前ら、ふざけた事やってんじゃねえ。美咲から離れろや。つか美咲、何で俺を呼ばねえんだ」

 取り乱した様子の大樹が、脱がそうとしていた男に殴り掛かろうとした瞬間、茶髪の男が間に入ってカウンターを喰らわせた。

「大樹!」

 私は何が何だか分からずに、力の限り叫ぶ。

 何で今まで叫ばなかったのか。心のどこかでは助けを求めてたのに。口を押さえられている訳でもなかったのに。

 あまりの恐怖に声を出す事さえ忘れていた? それとも私を盾に大樹がやられる事を恐れてた?

 そんな事を考えている時、大樹の方に居た連中の一人が、襟首を後ろから掴んで大樹の進行を阻止した。

 私は一連の騒ぎの間、右腕を押さえられる力が緩まった隙に、捲り上げられた服だけ直した。

 私の上に乗っている男は、大樹が引っ込んだのを確認した後、拳を振り上げる。

 タコ殴りにする作戦に変更したのか、それとも私を弱らせてから続きをやるつもりなのかは分からないが、ピンチである事には変わりない。

 しかも今ので大樹は私の方に気を取られてしまっているかもしれない。早く何とかしねえと。