宝物〜絆〜

「美咲、やられんなよ」

 そう言った大樹の表情は、さっきまでとは一変して悪戯に微笑んでいた。

 やっとやる気んなってくれたみてえだな。良かった。

「ああ。分かってんよ。私が簡単にはやられねえの知ってんだろ? 安心して自分の事に集中しな」

 大樹の表情を見て無意識に安堵のため息が漏れる。

 どこまでいけるか分かんねえけど、とにかく私は少しでも人数を減らす事に集中しねえとな。少しでも大樹の負担を軽く出来れば、そんだけ勝率が上がる事になるんだから。

 そして、大樹もやる気になって安心したところで、ちょうど空き地に到着した。

 着いたと同時に大樹は拘束から解放される。

「お前ら、さっきから聞いてりゃ勝つ気でいんだな。笑わせてくれるよ。まあ、お前が立川じゃなきゃただの戯れ事にしか聞こえねえけど、お前が本気でやるってんなら油断出来ねえな。それでも、こんだけ居りゃ楽勝だろうけど」

 ピンク髪の男が馬鹿にしたように笑いながら口を開いた。

 直後に単車で来た奴らを含む全員が、私たちを囲むように陣を取る。

 別々じゃなくて、二人一緒にやるつもりだろうか? 動きづらそうだけど。

「マジで気をつけろよ」

 大樹は私にだけ聞こえる程度の小声で呟いた。

 私は「ああ。お前もな」と一言返す。