宝物〜絆〜

 つか、いきなり何言ってんだ、こいつは? しかも前から決まってたみてえな言い方してんし。

 あまりに自然に言うから、突っ込みそびれちまったじゃねえか。

「……んじゃ、大樹は真っすぐ帰んだな」

 数秒の間を空けて、秀人は思い切りスルーした。

「ハハ。冗談だよ。そう怒んなって。秀人んち泊まって良いか?」

 大樹は笑いながら聞き直す。

「はいよ。メシ食ってから帰ってくんのか?」

 秀人は下駄箱の前で靴を履き変えながら聞き返した。

「適当に買って帰るから、腹減ったら食ってて良いぞ。食ってなけりゃ秀人の分も買ってくわ。とりあえず帰る時に電話すんよ」

 大樹も靴を履き変えると、再び歩を進める。

「食わずに待ってるから良いよ。材料いっぱいあるし」

 秀人の言葉を聞いて、ふと冷蔵庫の中身が頭を過ぎった。

 大樹と鏡司が買ってきた肉は、食い切れずに冷凍庫で凍らせてある。野菜も、じゃがいもや玉葱などの根菜類が残っていて、冷蔵庫横のアミカゴに入っている。

 秀人が苦笑しながら「俺一人じゃ食い切れずに捨てる事になっちまうから、美咲もどんどん食ってくれよな」と言っていた。

 それによって、この数日は元々考えていたのと別の理由で、秀人の部屋でメシを作る事になったのである。