宝物〜絆〜

「ああ。頼んだぞ」

 秀人は大樹に応えるように、ゆっくり頷いた。

 結局、秀人は深い部分まで語らなかった。ただ私たちを安心させる為に優しく微笑んでいるだけ。

 なんか今回の件で、嫌な役は全部、秀人が被ってんじゃん。一番の被害者は秀人なのに、話しに行くのさえ私に譲ってくれて。

 だからって、この三人が総出で行けば畏縮して話もしてくれないだろうし。

 私が行かずに秀人と大樹で行った方が良いのか……、それとも大樹に任せた方が良いのか。

 でも、やっぱ元の原因である私は行かねえと駄目だよな。

「まあ会えなかったらどうしようもねえけど、この日のうちに話つけねえとな」

 大樹はその日の事を考えているのか、遠い目をしている。

「だな。もういい加減に白黒つけて、あいつも学校来りゃ良いんだけどな。やめる気かな、あいつ」

 秀人も真剣な表情で答えて煙草に火をつけた。

 つか秀人、自分がこんな目に合わされたのにバカ西の心配かよ。本当いつも人の心配ばっかだよな。確かに和解出来りゃ、それに越した事はねえけど。

「まっ和解出来りゃ、一番良いんだけどな。何にしろノーダメージで帰ってくんよ。秀人が痛え目みたのは無駄にしねえから」

 秀人を見つめながら話した私の言葉に、秀人は安心したように優しく微笑んだ。

 その後、内容が内容だからか珍しく黙っていた鏡司も会話に参加して、いつものようにバカ話を始めると、少し重くなっていた空気もすぐにまたいつもの和やかな雰囲気に戻った。