宝物〜絆〜

 私が混乱している中で、大樹は更に追い打ちをかけてきた。

「だよな。美咲も秀人としか考えらんねえと思うぞ。なあ美咲?」

 大樹は今までにない程の大袈裟な含み笑いを浮かべている。

 何て答えりゃ良いんだよ? そりゃ私は冗談抜きで秀人しか考えらんねえよ。

 だからって、それを今この場で暴露しろと? 私は素面(しらふ)なんだけど。秀人の発言も含めてこの展開自体がギャグにしか思えねえ。

「ああ。私も秀人しか考えらんねえよ」

 それでも否定したくない私は、極力冗談に聞こえるように肯定の言葉を述べた。

「だってよ、秀人。ここは一つ、付き合っちまえば?」

 大樹は満足そうな笑顔で頷いている。

「何、付き合ってなかったの?」

 鏡司は驚いたような声を出した。

 駄目だ。やっぱこの空気に耐えらんねえ。ってより、恥ずかしくて秀人の顔を見れねえ。

「メシの準備してくる」

 私は火照った顔を見られないようにして席を立った。

「照れちゃって。男っぽい割には可愛らしい一面もあんだな」

 後ろから鏡司のからかいの声が聞こえてくる。

「まっ見た目は綺麗な女なんだけどな。中身は、ほぼ男だよな」

 大樹がそう言った直後、三人の笑い声が聞こえてきた。