「あの、何処へ?」

「私んち。ちょっと話したいな、と思ってさ」

 何故か唯の目は怯えてるように見える。私は、もう一度聞き直した。

「イエス? ノー?」

「うん、分かった。いつ行けば良いの? 後、家の場所も分かんないんだけど……」

 戸惑い気味に答える唯。

「今だよ。一緒に行くから場所は問題ねえよな」

「えっ? 今って、学校は?」

 うるうるした可愛い目を見開いて驚き、唯は更に質問してきた。

「帰るって言ったじゃん」

「つまり私もサボれって事?」

 ああ、唯はサボったりしないんだな。

「じゃ、学校終わってからで良いよ。場所、説明すんの面倒だから迎えに来るわ。終わったら電話してくれ。番号は今から……」

 私は言いながら携帯を取り出そうとしたが、唯がそれを遮った。

「うーん。やっぱ今から行くよ。荷物取って来るから待ってて」

「いや、ちょっ……」

 行っちゃったよ。つか私のせいでサボらせる訳にはいかねえし。戻ってきたら断ろう。

 そんな事を考えながら、唯を待つ間、携帯のゲームで時間を潰した。何を隠そう、根っからのゲーム好きだったりする私。

 唯は二十分位で戻って来た。

「ごめん。早退届けとか出してたら時間かかっちゃった」

 早退届けって。マジかよ。じゃ帰るしかねえじゃん。あっ、でも早退届け出してんだからサボりにはなんねえか。