宝物〜絆〜

「お前、いくら勝ったんだよ?」

 大樹はわくわくしたような期待に満ちた瞳で鏡司を見つめる。

「十万くれえかな」

 鏡司は自慢げな表情で微かに笑う。

「マジかよ。すっげえなあ。いつもんとこか?」

 更に食いついた大樹と共に、二人はパチンコの話で盛り上がり始めた。

 何でも良いから受け取って欲しいんだけどな、と手に持った札を見て思う。

「とりあえず受け取ってくれよ」

 私は強引に金を渡そうとしたのだが、受け取ってくれない。

「んじゃ、今度頼むよ」

 鏡司は差し出した私の手を押し戻した。

「とりあえず今日は素直に奢ってもらっとけ」

 大樹にも言われて、仕方なく金を引っ込める。

「分かったよ。鏡司、今日は有り難くゴチんなります」

 ほぼ初対面に近い人に奢ってもらうというのはかなり気が引けたが、鏡司も全く引く気配がなかったので有り難く奢ってもらう事にした。

 それから私たちは秀人の単車が停めてある駐輪場に向かい、別の場所に停めていた鏡司と合流して私のバイト先に向かう。

 店名を告げると大樹は知っていたらしく、「今度飲みに行くか」などと言っていた。高校生が飲みに行くような雰囲気の店じゃないんだけどな。