宝物〜絆〜

「この顔で出歩けっつーの? 普通に無理だから」

 秀人は苦笑しながら答えた。

「そうか。んじゃ、酒買ってきてここで飲む? 一人暮らしみてえだし。したら美咲もバイト終わってから来れるだろ。よし、決定。今から買いに行くか」

 鏡司は満足そうに一度大きく手を叩いて立ち上がる。

 いや、何を勝手に決定してんだよ。さすがにギャグだよな?

 それに待ったをかけたのは意外にも大樹。

「ちょっと待てよ。買いに行くなら一人じゃ持ち切れねえだろ。俺も行くよ。でも単車一台じゃ何往復かしねえといけねえな」

 って、そっちの待てかよ。やっぱこいつも普通じゃねえ。

 私はこの中で一番まともな感性を持っているであろう秀人に視線を移す。

「でも俺、こんな身体じゃ今日はあんま飲めねえぞ。つか大樹、その格好で買いに行く気かよ」

 秀人、お前も突っ込みどころ間違えてんぞ。つか、こんな状態で普通に飲む気かよ。

「そういやそだな。秀人、服貸してくれよ」

 大樹は苦笑しながら秀人に服を借りようとしている。この流れ、もはやギャグではなさそうだ。

「ああ。後、単車も俺の使って良いよ」

 秀人は後ろのテレビ台に置いてある鍵を手に取って言う。

「良いのか? つか単車借りれんなら美咲がバイトん時に行くか。乗っけてけるし」

 大樹の提案に二人とも納得して、ひとまず鏡司も再度腰を下ろした。

 つか突っ込むタイミング逃しちまったけど、突っ込んどいた方が良かったか?