宝物〜絆〜

 それから鏡司はどことなく機嫌よさそうに単車を走らせ、数メートル先にある自販機の前で停車した。

「お前ら何飲む?」

 鏡司は単車から降りながら笑顔で聞いてくる。

 私たちの分まで買ってくれる気の鏡司に対して、二人とも遠慮して「良いよ」と断ったのだが「良いから遠慮すんな」と言われて結局買ってもらってしまった。

 私はお礼を言って、なるべく血の付いた部分で触らないように気をつけながらペットボトルを受け取る。

「あっ、秀人って人の分も買っとかねえと。昨日やられたばっかなら口切れてっかな。コーラでいっか」

 鏡司は悪戯な笑みを浮かべながらとんでもない事を言っている。

「お前は鬼か。とりあえずやめとけ」

 大樹が再び突っ込んだ。なんか今日は珍しいもんを見てる気がすんな。

「そう? 面白そうだったんだけどな。しゃあねえからお茶にすっか」

 笑顔を浮かべる鏡司の表情からは、どこまでが本気か読み取る事は出来ない。

 まっ、さすがにコーラは冗談だろうけど。

 鏡司は笑顔のまま再び単車に跨がって大樹の横につく。

 そして、その後も雑談しながら歩くこと数分。マンションに到着した。