茜を通してしか付き合いのない唯とは番号交換してないから、校内を探し回ってたんだろう。因みに唯は隣のクラスで『2−B』。

「帰るよ。用事なくなったし」

「ハハハ……。学校は勉強するトコなんだけどね。それは良いや。で、用事って何だったの?」

 唯は苦笑いで言う。

「茜と話そうと思ってさ。でも、今は無理っぽいから改めるよ」

「無理っぽいって? その気があるなら話した方が良いよ。何で無理って決め付けるの?」

「教室行った?」

「行ったけど、何?」

 まあ行っただけじゃ分かんねえわな。

「茜の席を囲ってる奴ら、居たじゃん? あいつら、もし茜が私の味方したら……ってより、あん時に私に付いて来てたら、後で茜にも嫌がらせを始めてたと思う。だから無理に連れ出さなかった」

「それは今の話でしょ? 昨日とかでも、電話すれば良かったじゃん」

「電話はしたよ。でも、着拒されたから話せてねえんだ」

「嘘」

 唯の目つきが鋭くなった。多分疑ってるんだろう。

「本当だよ。家にも行ったけど、会えなかった」