宝物〜絆〜

「別に行くのは良いけどよ。お前いつも自分が原因、自分のせいだっつってっけど、美咲は別に何も悪い事してねえじゃん」

 大樹は、その綺麗な瞳で私の顔を覗き込む。

「いや、事の発端は私だろ。その上、私はあいつの事を景気よくやっちまったし。あいつが仕返しすんのは私一人で充分のはずだろ」

 そう。元の原因は私なんだ。

「あいつは、ただの憂さ晴らしでやってんだよ。金持ちの道楽みてえなもんだ。だから美咲が一人で背負い込む事じゃねえ。つかマジで一人で背負うなよ。お前もみんなの事を守りてえんだろうけど、俺らだってお前の事、守りてえんだよ。だからもっと自分の事、大切にしてくれ。じゃなきゃ秀人が悲しむぞ」

 大樹は優しく微笑んでいる。

 暖かい一言だな。こんなに思ってくれる友達が居て、私は本当に幸せ者だ。

「ありがと」

 それしか出てこない。胸の奥がジンと熱くなった。

「ああ。んじゃ、行くか」

 大樹は満足そうに微笑んで煙草の火を消す。

 私も火を消して、大樹と共に屋上を後にした。