「うん、行こうか。琴音も行くよね?」

 仁美はコクンと頷いて琴音にも同意を求める。

「もちろん。心強い味方もついた事だし、絶対に説得しようね」

 大袈裟な程にニカッと笑ってみせる琴音。

 ひとまず香奈の事はこの三人に任せておけば大丈夫だろう。まっ、元から私が口出しする問題じゃないけど。

「じゃあ、行こっ!」

 仁美は琴音の返答に満足そうに頷いた後、ふと私の目の前に歩み寄ってきた。

 そしてペコッと頭を下げてから口を開く。

「色々とありがとうございました。今から香奈のトコ行ってきます」

 そう言って力強く微笑む仁美。

 きっと仁美は、ずっと一人で悩んできたんだろう。それが琴音や沙織という理解者が出来た事で、確実に解決に向かっているという喜びや、必ず解決出来るという自信に繋がって、今みたいな笑顔が出てきたに違いない。

 そんな清々しい笑顔を見ていると、私まで気分が良くなってきて自然に笑みが零れた。

「ああ。お前らも頑張れよ」

 私なりに、精一杯激励の気持ちを込めて言葉を返す。