宝物〜絆〜

「それより、やっぱファミレス行かねえか。良い弁当がねえよ」

 立川は途中で秀人に向き直って聞く。

「ああ。俺は良いよ。美咲は?」

「どうせ帰る気だったから私も良いよ。鞄だけ取って来るわ。弁当が気になるし」

 コンビニを出ようとしたら、秀人と立川が後を追ってきた。

「んじゃ鞄取ってきてからファミレス行くか。中西の鞄も持ってくんだろ?」

 秀人の台詞に立川は頷いて三人で再び学校へ向かう。

 教室に着くと、茜が心配そうな表情で駆け寄ってきた。

「美咲、何してたの? 昼休み終わっちゃうよ。って、何で立川くんが一緒なの?」

「茜、わりぃ。色々あってさ。今日はもう帰るよ。夜バイト前に電話出来たらするわ」

 私は茜の頭をポンッと叩いて鞄を取りに向かう。

「唯。茜の事、ヨロシクな」

 ポカンとする二人に笑顔を向けて教室を後にした。



     * * *



 学校から一番近いファミレスは徒歩十五分の位置にある。急いでる訳でもないから、そこまで歩いて行く事になった。

 いつもショートカットに使う公園を横切り、ひたすら直進する。

「ところで名前は秀人で良いんだよな? 俺は大樹。改めてよろしくな」

 大通りの信号待ちで秀人に握手を求める立川。

 何もこんな人通りが多い所で言わなくても、ファミレスに着いてからで良いと思うんだけど。

「ああ。こっちこそよろしく」

 秀人はにっこり微笑んで握手を返した。