宝物〜絆〜

 コンビニにて昼メシを選ぶ秀人達はとても仲が良さそうで、ついさっきまで殴り合ってた二人とは思えない。

 つか立川の奴、まさか一緒に食うつもりか? 教室では茜や唯が待ってる訳だけど。

「立川、お前うちらと一緒にメシ食う気か?」

 聞きながら携帯で時間を確認すると、五時限目の授業開始まで後十五分しかない。

「そのつもりだけど? いちいち聞くなよ、なんか寂しいだろ」

 やっぱそうだよな。まあ良いんだけどさ。それより茜に何て言うかが問題だよな。

「ああ、わりぃ。つか教室に茜とか待たせてんだよ。弁当も教室にあるし。それと、今の事、茜に何て言おう?」

 多分教室に戻る気はなさそうだから、報告ついでに屋上での事を何て伝えるか相談してみる。

 つか、こんな時に授業受けんのかったりーし、茜と話したら帰ろうかと考えながら。

「茜ちゃんにかぁ。確かに言いづれえよな。そもそも呼び出したのは晃なんだから、あいつに話させれば良くね?」

「いや、でもあんだけやっといて黙ってんのも嫌なんだけど」

 いくらバカ西が茜を傷つけたっつっても、茜が好きだった奴に対してやり過ぎだよな。最低だよ、私。

「キレてかかってったのもあいつだし、神谷は途中でやめようとしてたのにあいつ自身がやられる原因作ったんだから、神谷が気にする事じゃねえよ」

 結局その後も立川に説得され、私の口からは詳しい話はしない事に決めた。