宝物〜絆〜

「いえ、何でもありません」

 立川はどことなくニヤついた表情で私を見ている。

「おぉ〜、恐ッ」

 秀人も笑いながら立川の話題に乗った。

 ったく。自分達の方が強えくせに、人を化け物みてえな言い方しやがって。

「はいはい、そーですか。んで、秀人。購買行くぞ。もう売り切れてっかもしんねえけど」

 とりあえずここに居る用事もなくなったし、秀人を購買に連れてく事にした。

「おっ、購買か。んじゃ、俺も行こうかな」

 立川が割って入ってくる。

 いや待て。バカ西はどうするつもりだよ?

「じゃ行くか。こいつはどうすんだ?」

 私の疑問を秀人がそのまま口にしてくれた。

 立川はバカ西の方を見て話しかける。

「おい、晃。俺ら購買行くけど行くか? って、その顔じゃ無理だな。そもそも食えねえだろ。授業始まったら人も少なくなるし、今日は帰んな。鞄は家に持ってってやんよ」

 立川の言葉にバカ西は右手を挙げて応えた。

 バカ西を置いて購買へ行くと、予想とは少し違ったが、売れ残りにはメロンパンやらあんパンしか残ってなかった。

「コンビニでも行くか」

 立川は私たちを見て提案する。

「そうだな」

 私と秀人はほぼ同時に返事をし、コンビニに行くことになった。