宝物〜絆〜

 私は順序立てて説明していく。

 話を真剣に聞いていた立川と秀人は、説明が終わると同時にバカ西を見て深く溜息をついた。

「晃よぉ。お前、自分から告っといて。振られたからって……、付き合えねえって分かっただけで、ここまでやんのかよ? そりゃあねえだろうよ。そもそも茜ちゃんとは別れる気だったのか?」

 立川が呆れ気味に問うが、バカ西はやはり話す事が出来ないようで目線だけを立川に向けた。

「あーあ、誰かさんが目茶苦茶やらかしてくれたおかげで、晃、喋れねえみてえな」

 立川は私の方をチラ見する。

「……悪かったな。でも、わりぃのはこいつだよ。茜を裏切るような真似しやがって」

 私はバカ西に視線を移した。

「で、バカ西! てめえがどういうつもりで茜と付き合ってたのかは知らねえけど、茜との事は二人で納得いくように話し合えよ。ただし、どんな結果になろうと茜に嫌がらせなんかしたら、こんなもんじゃ済まさねえかんな。次は手加減しねえ」

 返事が出来なくても釘さしとかねえとな。

 バカ西は話せないながらも頷くようなリアクションをした。どうやら伝わったらしい。

「つか、あれで手加減してたのかよ。ハハ」

「冗談にしても笑えねえな」

 後ろから二人のからかうような笑い声が聞こえてきた。

「何か言ったか?」