宝物〜絆〜

 二時限目から四時限目まで特に変わった事はなく、まさに嵐の前の静けさとも言うべく穏やかに昼休みが訪れた。

 授業中に秀人と、茜や唯に何て言って教室を出るか相談して決めておいた。戻って来た時に何て言うかは、まだ考えてねえけど。

 焦ったのは四時限目が終わった瞬間。バカ西がこっちを睨んで何か言いかけたからヒヤッとしたけど、結局何も言わずに立川と一緒に出てってくれたから助かった。

「あっ、茜。秀人弁当じゃねえから購買の場所教えてくんよ。唯が来たら先に食ってて」

 茜が弁当を持ってこっちに歩いて来たから、決めておいた通りに伝える。

「分かった。行ってらっしゃい」

 茜は笑顔で頷いて、いつも通り私の前の席に座った。

 去り際に「唯にも伝えといて」と付け加えて教室を出る。

 教室を出てひとまず購買に向かおうと階段を下りかけた時、秀人が不思議そうに話し掛けてきた。

「おいおい。屋上行くんじゃねえのかよ?」

 秀人は既に階段を上りかけている。

「いや、先買っとかねえと売り切れちまうだろ?」

 普通に考えて屋上から戻って来てからじゃ売れ残ってる可能性は低い。

「良いよ、んなもん。持ってくの邪魔じゃねえか」

 言いながら行くぞ、というジェスチャーをとる秀人。

「邪魔っつったって今買ってかねえとメシ抜きんなっちまうぞ?」

 説得しようとしたけど、こんな事、話してる時間が無駄だから行くぞなどと言われ、仕方なく先に屋上に向かう事にした。