宝物〜絆〜

「今日の連絡事項は特に無し。って事だから、この前言ってた“恐怖のタコ焼き”の話をするぞ。本当は今度のテストで全員が六十点以上とったら話す予定だったんだが、今日は神城くんを歓迎する意味を込めて特別だ」

 水谷の台詞に、教室内はざわめきだす。秀人はというと、意味が分からないといった様子でポカーンとしている。

 水谷はホームルームだけじゃなく授業でも、早く終わるといつもこうやって面白い話や小ネタを披露してくれるのだ。

 これがまた、おもしれえんだよな。一年の時も水谷が担任だったんだけど、今んとこハズレ無し。

「はいはい、お前ら静かにしろ。静かにしないと今日の数学の授業はテストにするぞ。ハッハッハ」

 さも楽しそうに話す水谷。その一言で教室内はピタッと静まり返る。

「よし、じゃあ始めるか」

 水谷は満足げに話し始めた。

 シーンと静まる教室内で、水谷は危機迫る表情で話す。その内容は“恐怖”という言葉の通り、素で怖かった。

「――という訳だ。どうだ、面白かったか?」

 話が終わったと同時に再びざわめきだす教室内。

「何だ、そういうオチかよ」

「俺マジでビビってたんだけど」

「先生、怖がらせんのうますぎだよー」

 などと、アチコチから感想が聞こえてくる。

「ハハ。この先生、おもしれえ人だな」

 秀人も笑いながら話しかけてきた。