宝物〜絆〜

「神城秀人です。よろしく」

 秀人はそれだけ言って軽く頭を下げる。そして、進級早々に退学した奴の机を教えられて私の隣に運んできた。

 いや、まさか本当に同じクラスんなるとはな。

 純粋な驚きや嬉しさと一緒に、秀人まで巻き込んだ波乱の予感がして不安になってくる。悪く考えすぎだろうか?

「よっ。マジで同じクラスんなるなんてな」

 秀人は悪戯な笑みを浮かべている。

「ああ。しかも隣とか有り得ねえだろ、普通」

「だな。まっ、俺としては一安心だよ」

 秀人が何についてを一安心だと言ってんのか解るから、私は逆に不安な気持ちが増していった。

 クラスが一緒で席も隣なら、私に何かあった時に気付きやすいしすぐに動けるから、とか考えてんだろう。もはや秀人を巻き込まない事は不可能かもしんねえ。

「はい、そこっ。お喋りはホームルームが終わってからな」

 水谷は柔らかい口調で注意してきた。

 基本的に怒る事のない水谷は、話も面白く理解のある教師として男女ともに人気がある。歳が若くて美形というステータスも人気の要因の一つで、女子生徒には別の意味でも人気が高いらしい。