宝物〜絆〜

「違うよ。なあ、茜。やっぱさ、ほとぼりが冷めるまでは一緒に居ない方が良いと思……」

「こんな事になっちゃったの、元はと言えば私のせいなんだよ? それに、考えてみたら一緒に居た方が噂も早くなくなると思う」

 茜は私の言葉を遮って首を横に振る。

「茜のせいじゃねえだろ。悪いのはアイツ、中西。あっ、いや。わりぃ。そういう意味じゃなくて」

 言ってから後悔した。茜にとってのバカ西は、仮に今は別としても大切な存在だった事に変わりないんだから。

「何で謝るの? あのさ、美咲。もう大丈夫だから。気を遣ったりしないでね。それと、今日ちゃんと別れてくる。本当はもう心に決めてて、土日のうちに片をつけようと思ってたんだけど、なんか話す気力が湧いてこなくて」

 若干、苦笑混じりに言う茜の瞳は、決意に満ちていた。

「そっか。納得いくように話して来いよ」

 私は茜が既に気持ちの整理がついて立ち直っている事に安心し、少しだけ笑顔になる。

「うん」

 茜はにっこり笑って大きく頷いた。