太陽が傾きかけた頃、船は港に着いた。

少し金色を帯びてきた日光が、甲板の上に長い影を映していた。

次第に近づいてくる岸壁には、大小の無数の船が張り付くように並んでいる。

港の端の方には魚採りの網を垂らした小ぶりの船が、中央の辺りには何枚もの帆を張った大きな船が泊まっていた。

岸壁から向こうは急な坂になっているらしく、小さな家々が積み重なっているように見えた。

一番高い所に、二つの円型の塔を持つ城が、まるで灰色の王冠のように鎮座していた。

ラドリーンの乗った船は、大きな船の近くに停泊した。

隣の船では、体格のいい、日に焼けた肌の男達が積荷を下ろしていた。


『もたもたするな! 日が暮れちまうぞ』

『馬鹿野郎、品物をお釈迦にするつもりか!』


陸の方からも、聞いた事もないくらい乱暴な大声が聞こえてきた。


港は雑然としていた。


あるいは、ラドリーンが知らないだけで、港はどこもこのような場所なのかもしれない。


――お城だね

甲板に出たラドリーンの腕の中でリナムが言った。


「わたし達のお城とどちらが大きいかしら 」

そう言ってから、ラドリーンは不思議な気持ちになった。