それが遠いのか近いのか、ラドリーンにはよく分からなかった。


「むしろ都の門をくぐり抜けるのに、もっと時間がかかるかもしれません。病床とはいえ、あのエイローンすんなり門を開くとは思えない」

テオドロスは顔をしかめて言った。


ラドリーンは少し興味を覚えた。


「エイローンとはどんな人ですか?」


「大胆にして狡猾――恐ろしく頭の切れるタヌキ親父ですよ」

テオドロスは肩をすくめた。

「民衆受けはよろしいですが、まあ、民というのは平和で自分の生活が安定してさえいれば、誰が玉座に座っていようと気にしないものですから」


テオドロスは嘆かわしいと言わんばかりだった。


ラドリーンは、それほど嘆かわしいとは思わなかった。

テオドロスから"真実"を聞いた時は、どこか漠然と、悪い男が王位を奪って圧政を敷いているようなイメージを抱いていた。

しかし、そうではないらしい。

今更、自分が女王になる意味はどこにあるのだろう。