ネズミと伝言がどう繋がるのか分からない。


「喋るネズミがいるの?」


――まさか! あいつらにそんな脳ミソはないよ


(じゃあ、どうやって……?)


ラドリーンの脳裏にネズミの死骸で作られたメッセージが浮かんだ。


(ああ、また吐きそう)


――ドアを引っ掻いて字を書いたんだけど、細くて気がつかなそうだったから、その上からネズミにかじらせた。

リナムは自慢げに言った。

――あれならバードもすぐ気がつくよ。ラドリーン? 大丈夫? 顔色が悪いよ


「まだ少し吐き気がするの」

ラドリーンは力なく微笑んだ。


――横になりなよ。眠ってしまえばあっという間に着くよ


ラドリーンが座っているのは、作り付けの大きな木の箱だった。

寝るのには十分な大きさだ。

いや、むしろ寝台として使えるように、この大きさにしたのかもしれない。

でも、横になった方が全身で揺れを感じないだろうか?


――目をつぶって、これは揺りかごだって思えばいい


「揺りかご?」


――そう。それなら揺れて当たり前でしょ?