中は天井の高い、広い部屋だった。

暗い色合いの、どっしりとした木製の家具が置かれている。

左側の壁には明るい色合いの、大きなタペストリーがかかっていた。


何の変哲もない。


蝋燭の明かりで見た時は、どこか不気味な雰囲気のある部屋だと思ったのだけれど。


「ごきげんよう」


奥の方から親しげな、男の声がした。

窓を背に、誰かが立っていた。


「お久しぶりですね、ラドリーン·ボー·ハルド王女殿下」