バードの足手まといにならないといいのだけれど……


ラドリーンがそんな事を思っていると、ドアをノックする音がして、<侍女>が入って来た。

<侍女>は、ラドリーンの膝に陣取ったリナムを見て渋い顔をした。


「猫と遊んでいる場合ではございませんよ」


猫と遊ぶくらいしかやる事はないのに?

ラドリーンは皮肉っぽく思った。


「お着替えを。お客様がお目通りを願っています」


ラドリーンとリナムは顔を見合わせた。


「お客様ってどなた?」

ラドリーンは座ったまま、のんびりとした口調で尋ねた。


「お会いになれば分かります」


「よく知らない人と会うのは気が進まないわ。あなたがお話をお伺いして」


「姫様」

<侍女>は厳しい顔をして言った。

「恐れながらあなた様は、何かをお決めになれるお立場ではございません」


ラドリーンは静かな眼差しで<侍女>を見返した。


「知っています」