「きっと楽しいでしょうね」

ラドリーンは、息を震わせて囁いた。


アスタリスの指が愛おしむようにラドリーンの髪を撫でた。


「ならば行くと言えばいい。たった一言だ。難しい事はあるまい?」


そう。

たった一言、口にすればいい。

わたしが突然いなくなっても、誰も悲しみはしない。


「行きたい――あなたと行くわ。わたしを連れて行って」


ラドリーンは、ささやかな夢の世界に向かって手を伸ばしたのだった。