「結婚を申し込む時、ということ?」


「少し違うな。俺の種族に結婚という概念はない。男が求愛し、女が選ぶ。愛が育てば一生を共にする」


「女性が選ぶの?」

ラドリーンは笑った。


「もちろん。命を未来に繋ぐのは女だ。強い男を選ぶ権利がある」

アスタリスは片手を伸ばして、ラドリーンの頬に触れた。

「お前はどうだ? 俺の求愛を受け入れる気はあるか?」


「今のはわたしのための歌だったの?」


「他に何がある?」

アスタリスは苦笑した。


「わたし――」

ラドリーンはためらうように言った。

「わたしは、まだ、あなたと行く決心がつかないの」


「では、俺が決心をつけさせてやろう」

アスタリスは、ラドリーンを抱き寄せた。


「どうやって?」


「こうやって」

ラドリーンの口元に囁き、そっと唇を重ねる。