しかし、ラドリーンのそんな決心など不要だった。

何日たってもアスタリスが現れる事はなかった。

ラドリーンは以前のように、夜の城内探検を始めた。

相棒ができた事もあって、ラドリーンは行き先をどんどん伸ばしていった。


「ここ、何かしら?」

ラドリーンは、使われていないらしい部屋を覗き込んで言った。


中の調度品には覆い布がかけられている。


――機織りの工房みたいだね

ラドリーンの足元でリナムが答える。


「機織り?」


――ほら、そこにある道具で布を織るんだよ。パタンパタンって


リナムの位置からは、覆いの下側が見えるらしい。


「へぇ……」


ラドリーンは中に入って覆いをめくってみた。

木枠の大きな道具だ。

使い方はよく分からない。


「あっちのは?」


ラドリーンは奥を指差した。