<影>たちは仕事を終えると、無言のまま出て行った。

誰もいなくなると、薪がはぜる音と波の音が妙に響く。


――ねえ、ソーセージある?


静寂を破って、やや甲高い声がした。


ラドリーンはギョッとして床を見下ろした。

金色の目がラドリーンを見上げていた。


――ソーセージの匂いするよ。あるならちょうだい


ラドリーンは頷いて、フォークに刺したソーセージを差し出した。

猫は前足でソーセージをフォークから外して食べた。


「リナム」


――んー、なあに?

猫は口をモグモグさせながら返事をした。


「本当に喋れるのね」


――うん。やっともとに戻れて嬉しいよ


「わたしも嬉しいわ」

ラドリーンは微笑んだ。

「お話ができるもの」


――お話? どんなの? 勇者は出てくる?