あまりに現金なその態度に、ラドリーンは呆れると同時に笑ってしまった。


「姫様、猫を部屋から出しますか?」

寝支度の手伝いに来た<侍女>は、暖炉の前の猫を見て言った。


「いいの。そのままにしておいて」


<侍女>は顔をしかめた。


「寝床には入れないで下さいませね。ノミがいるやもしれませんから」


ラドリーンは頷いたが、健康そうに丸々と太った猫がノミや病気を持っているとは思えなかった。


<侍女>は暖炉の火を落として燠火にすると、ラドリーンが寝床に入った事を確かめ、部屋中の蝋燭を吹き消した。


「お休みなさいませ」


<侍女>が持つ最後の蝋燭が部屋の外に消え、部屋は闇に包まれた。


ラドリーンは寝床の中で百まで数えてから、ムクッと起き上がった。

これで朝まで誰も来ない。


「ナーン」

それともニャームだろうか。

呼び掛けると、猫のシルエットが顔を上げた。

「探険に行くわよ」