ラドリーンは猫の背を撫でて微笑んだ。


命の温もりが愛おしい。

最後に誰かと触れ合ったのはいつの事だろう?


「ねえ、ずっとここにいたら? 好きな物をあげる」

猫は何が好きだろう?

ネズミじゃないといいのだけれど。

「何が好き? ミルク? ソーセージ?」


猫はラドリーンの膝に顔をこすりつけた。



夕闇がせまる頃――

扉を開けた<侍女>が見たものは、鹿皮の敷物の上に寄り添って眠る黒髪の少女と黒猫の姿だった。