「あなたは、この世界の人達が好きではないのね」

「好きさ。幻滅はしているがね」

ラドリーンは、まだ救いがあると思っていた。

アルフレッド卿やあの病気の人達――きっと、他にも良い人達がいるはずだ。

もしも……もしも、本当に自分が王女だったら、良い人達を取り立てて、悪い人達を排除できるのではないだろうか。

それなら、バードはここに残ってくれる?

後ろから自分を支える温もりに、ラドリーンは寄りかかった。


願えば叶うかもしれない。

アスタリスと二人なら、きっとこの国を立て直せる。