「ここだ。」

「ここって。カラオケ?」

「そうだ。」

「一ノ瀬君、カラオケ来たことないの?」

「…悪いのかよ。」

「いや、悪くはないけどさ。とりあえず、入ろっか。」

「お、おう。」

慣れた様子で入っていく鈴芽に対して、奏夜は緊張しながら入っていく。

「こんな小さい部屋で歌うのか。しかも大音量で。」

「今日は2人だからね、大勢で来るともっと大きな部屋に通されるよ。」

「よーし、まずはチュン子、お前歌え。」

「え?一ノ瀬君が来たかったんでしょ?先いいよ?」

「俺は後でいいんだ。ほら、歌えよ。」

「そ、そう?じゃあ、歌うね?」

鈴芽は最近人気のアイドルグループの曲を入れて、マイクやスピーカーの音量を調節し、飲み物で喉を潤してから歌い始めた。