彼と彼女の場合

さあ、彼女の家に向かおうか。


一応彼女にこれから向かう旨をメールして車を走らせた。



――

ピンポーン――

インターホンを鳴らすとパタパタと走ってくる音が聞こえて、その足音だけで彼女だとわかる自分にちょっと嬉しくなった。


「浩汰さん!こんばんは」

「こんばんは。急にお邪魔してごめんね」

「いえ、大丈夫です!お母さん捕まえるのなかなか大変なんでタイミングよかったです!どうぞ!」


「ありがとう。お邪魔します」

彼女に会えて少し和らいだけれど、それでもやっぱり緊張しながら彼女のあとを歩いた。

リビングに通されて、そこには愛果そっくりのお母さんが座っていた。

「いらっしゃい!どうぞ!」

「お邪魔します。相沢浩汰と申します」