彼と彼女の場合

ずっと俯いたままの彼女…。

嫌だったのか…?

さっきまでの幸せな気持ちが一気に青ざめてくる。

「あ、愛果?」

俺の呼び掛けにビクッと大きく身体を揺らした彼女だったが、ゆっくりと顔を上げてくれた。


やっと見えた彼女の顔は今まで見たこともないほど赤くて…。

息が苦しかったせいか目は潤んでいた。


……すっごい破壊力。

俺があと五年若かったら襲い掛かってたかも…。

そんな考えに自分で苦笑して、できるだけ優しく愛果の手をとった。

「ごめんね。急だったよね?」

「は、はい…。ちょっとびっくりしましたけど、大丈夫です」

大丈夫、とは言ってくれたが彼女と一向に目が合わない。

俺がしばらく黙ったまま手を握っていたらチラッとこっちを見て、一瞬目が合うと慌てて逸らす彼女…。