中村圭。
あたしの彼氏だった人。
最後に会ったのは高校の卒業式。
あれから7年がたった今、
彼に手紙を書いてみる。
連絡先は、中村くんと一番仲が良かったオカに聞いてみた。
「え、住所?メールアドレスでなく?」
「住所がいいの」
「でも手紙って、あいつ読まないかもよ」
「だから手紙なの。読みたくなかったら読まなくていいように」
結局オカは呆れながら教えてくれた。
最後に、
「ヒナに会ったのは圭には内緒にしとくから」
と言って帰っていった。
オカはあたしをヒナと呼ぶ。
高校時代からそう。
オカ曰く、
「朝比奈は長いし、砂裕って呼ぶのは圭に悪い」
かららしい。
オカらしくて、あたしはヒナっていう呼び名が気に入ってる。
話が反れたけど、やっと手紙を書く準備が整った。
あたしが中村くんと会ったのは高校の受験会場。
隣に座った中村くんに一目惚れ。
大事な受験会場でなにやってるの
って思われるかもしれないけど、
恋って突然やって来るものだもの。
受験が終わったあと、
絶対この高校に行くって決めた。
他の偏差値の高い学校も受かってたけど、
親を説得した。
中村くんが受かってるなんて
わからなかったけど、
ご縁があれば絶対受かってると思った。
入学式、中村くんを見つけたときは
すっごく嬉しかった。
運命だとさえも思った。
笑ってもいいよ。
勇気を出して話しかけた。
笑ってくれたときは跳び跳ねたかった。
あたしは他の子に比べて可愛くもないし
飛び抜けて得意なこともなかったけど
そんなの、気持ちを伝えない理由にはならなかった。
7月、中村くんに告白をした。
