オカが、さゆを好きだなんて知らなかった。
一体いつからだろう。
そんなこと、俺なんかが考えたって
全然わかんないけど、
オカは俺に「迎えに行け」と言った。
さゆは「迎えに来てほしかった」と言った。
迎えにいかない理由はないけど、
どうしても、気が進まない。
いつもの飲み屋から出ると、
ビックリするほど寒かった。
ああ、もうすぐ雪が降るな
なんて考えた。
そういえば、さゆに降られたのも、
雪の日だったな。
みぞれ雪だったっけ。
受験期に差し掛かるところで、
勉強に集中したいって言われたんだ。
「もう、会えなくなるんだな」
今までも会ってたわけじゃもちろんないけど
なんだか異様に寂しかった。
『足踏みしてても
靴のそこは減るぜ』
そーいえば、前飲んだときに
この言葉の話をしたな。
こういうことなのかな。
「…よしっ」
決心はついた。
あとは行動あるのみだ。
ケータイを開いて電話を掛ける。
『なんだよ、さっき別れたばっかだろ』
オカのめんどくさそうな声が聞こえる。
いつも、この声に叱られたりしたんだ。
そう思うと、なんだか変な感じだった。
「明日、さゆのとこ行こう」
『おう、勝手に行け』
「一緒にいくんだよ」
『お前さ、さっき話したよな、
ヒナはお前と二人になりたかったの』
「でも、オカだってさゆに言いたいことあるだろ?」
『だから、ヒナは気付いてたんだって』
「ほんとに?さゆが言ったの?」
『…』
「オカ、足踏みしてても、靴のそこは減るぜ?」
『うるせーよ』
笑った。
よかった。
明日、俺たちは再会する。
