お兄ちゃんの怒鳴り声に、その場にいたあたしたちは体を震わした。





お兄ちゃんを怖いと思ったのは、久しぶりだった。




「オレはもう、大事なやつに死なれたくはない」



その言葉にあたしは、頷くことしかできなかった。




お兄ちゃんの気持ちが痛いほどわかったから。



あたしたちが味わった悲しみを、またお兄ちゃんに味あわせるのは、絶対に嫌だったから。