「……お前、噂の女だろ」 「は?」 「ここら辺で暴れてるって噂の」 「────だとしたら?」 そんなこと聞いてなんになるの? 彼の考えることすべてが、あたしには理解できない。 「別に?」 パッと彼はあたしの腕を離した。 自由になった腕を見て、あたしは彼に背を向けて歩き出す。 ふわり、と彼から甘い香りがした。