「おい、千代梨。千代梨、起きろ」
「ん…んぅ…ん?」
俺の腕の中でスヤスヤと眠る千代梨の鼻を摘まむ。
「起きないと、今日の晩ごはんのオムライスあげねぇぞ。」
「それは困るよ!!!」
いきなりガバッと起き上がった千代梨は寝ぼけててもオムライスにたいする執着心は強く、思わず笑ってしまった。
俺が起こしたのに、まるで自分の方が先に起きていたみたいな物言いで
「はやく行くよー!颯くん!オムライスっ、オムライス!」
と言いながら細い足をバタバタさせている。
「ったく…俺が起こしたんだろうが。はいはい、行くぞ。」
「もーう、うるさい!早く早くー!」
いつもそうやって君は僕よりも先に進んでいく。
俺はいつも君と歩幅を合わせるのに精一杯なのに。
ニコニコと周りをみんな笑顔にする君を、今日も一番近くで見ていたのは俺だと思いたい。
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