未だにブツブツと何かを言いながら
いじけている千代梨のほっぺたをぎゅむっと摘まむとやっと大人しくなった。

「颯くん…早く会いたかったよ。」

ゆっくりと隣に座る俺の肩に頭をもたげる君の横顔は少しだけ赤くて、もっと、もっと好きになった。

サラサラの長い黒髪からはいつもシャンプーの匂いがして、それが千代梨の自然体な雰囲気をもっと引き出している。

千代梨の香りを感じながら、そっと髪を撫でた。


しっかりとこの光景を目に焼き付けながら。


それから、俺達二人はゆっくりと目を閉じた。









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