キュッと、涼川が俺の袖を掴む
微かに震えてるその手は、怯えを示していた
「…初めまして。美織さんと婚約させていただいている、野崎と言います」
「……婚約?美織と?いったいいつ決まったことだ?」
「つい2ヶ月程前ですが」
「悪いが取り消してくれ。美織を嫁がせる気はない」
「…なぜ、ですか?」
ニタリと気持ち悪い笑みを浮かべた男は、俺とベッドを挟んで向かい合うように立ち、眠る涼川の頬を撫でる
「美織はワシのそばに置くと決めている。あいつがなにを言ったかわからんが、この婚約は破棄だ」
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